「エコナ」出荷停止

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 「エコナ」出荷停止 発がん物質に変わる恐れある成分

 花王は16日、「体に脂肪がつきにくい」とうたった特定保健用食品の食用油「エコナ クッキングオイル」について、体内で発がん性物質になる恐れがある成分が含まれていることがわかったとして、エコナ関連商品(12種類59品目)の出荷を停止すると発表した。スーパーなどには販売自粛を要請。返品を求める消費者には代金を返す。

 花王によると、問題の成分はグリシドール脂肪酸エステル。体内で分解されると、発がん性物質のグリシドールになる可能性があるという。同社の分析によると、エコナにはグリシドール脂肪酸エステルが一般的な食用油の10~182倍含まれていた。
 同成分は意図して製品に配合されたものではなく、油のにおいを除くために加熱する工程で、副産物としてできたという。エコナ事業担当の安川拓次グループ長は「商品の安全性に問題はないが、不安を感じる方がいるため、安心して食べてもらえるようにするまで出荷を止めることにした」と説明。同成分の含有量を大幅に減らし、来年2月にも再び販売するとしている。

 問い合わせ先は、エコナ消費者相談室(電話0120・501・243、9月末まで毎日午前9時~午後7時、10月以降は平日の午前9時~午後5時)。

 花王によると、ドイツの研究機関が今年3月、加工した植物油を原料に使った粉ミルクに、MCPDエステルと呼ばれる発がん性物質が含まれていると報告。花王もエコナの原料に加工した植物油を使っていることから、6月に成分を分析した。その結果、MCPDエステルは検出されなかったが、グリシドール脂肪酸エステルが見つかったという。厚生労働省も同じころに調査を求めていた。

 ただ、同省によると、グリシドール脂肪酸エステルが分解されてグリシドールになるかどうか、分解されたとしても体内に吸収されるかどうかは分かっていないという。

 また、厚労省によると、エコナには、ジアシルグリセロールという別の成分も、一般的な食用油に比べて高濃度に含まれている。エコナシリーズのマヨネーズが特保に申請された際、一部の実験で感度を高めた特殊なラットにがんが発生。同省は05年、食品安全委員会にジアシルグリセロールを含む食品の安全性を評価するよう要請し、食品安全委が安全性を調べている。このジアシルグリセロールについて、花王は16日、「安全性に問題がないことを確認している」とコメントした。
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 〈エコナ クッキングオイル〉 大豆と菜種から取った油脂のジアシルグリセロールを主成分にした食用油。この油脂が他の食用油に比べて脂肪をつきにくくする効果があり、98年5月に厚生省(現厚生労働省)から特定保健用食品に認められ、99年2月に発売した。ドレッシングソースやマヨネーズ、ドッグフードなど計12種類59品目に使われ、花王のエコナシリーズの08年度の売上高は約200億円。
 

 花王、エコナ商品を販売自粛 発がん性懸念で

 花王は16日、体に脂肪が付きにくいとして人気のある食用油「エコナ クッキングオイル」の関連商品の出荷を17日から一時停止すると発表した。商品に含まれる「グリシドール脂肪酸エステル」が分解されると発がん性を持つとの懸念が欧州を中心にあるためで、販売を自粛する。

 花王は、現時点で安全性への懸念を明確に示す報告はないとし、既に出荷した分の回収はしないとしているが、希望者への返品には応じる。同成分の含有量を大幅に減らし、来年2月をめどに販売再開する方針。

 出荷停止はエコナシリーズの全商品と、エコナを原料に使ったペット用の「花王ヘルスラボ ドッグフード」。

 グリシドール脂肪酸エステルは一般の食用油にも少量が含まれる。3月にドイツで粉ミルクに含まれていることが問題視されたことをきっかけに、花王が自社製品を分析したところ、エコナからは一般の食用油に比べ10~200倍程度の高濃度で検出された。

 花王は製造工程を見直して含有量を一般食用油と同程度に抑えたいという。問い合わせは花王エコナ消費者相談室、フリーダイヤル(0120)501243。

2009/09/16 20:31 【共同通信】


    「花王エコナ」問題に関する当社の見解

 平成21年9月17日付各新聞紙上における花王株式会社の「エコナおよびその関連製品の販売自粛に関連して、当社に対する取引先・消費者ならびに利用者各位から多くの質問がありました。  弊社としましては、添付の日本植物油協会の見解のとおりでございますのでその旨お知らせ申し上げます。

また、弊社では更に品質管理の向上をはかり、社内管理体制の強化・正しい情報提供にて皆様に安心してこめ油をご使用いただるよう努めますのでよろしくお願い申し上げます。

平成21年09月17日
築野食品工業株式会社


花王(株)のエコナ関連商品の一時的販売自粛表明に関する見解

平成21年9月17日
(社)日本植物油協会


平成21年9月16日、花王株式会社がエコナ関連商品の一時販売自粛を発表されましたが、本件に関する日本植物油協会の見解は下記の通りです。

                       記

1. 花王(株)の販売自粛について

 花王(株)のエコナ・クッキングオイル(ジアシルグリセロールを高濃度に含む食品)につきましては、食品安全委員会において、発ガン性物質であるグリシドールに体内で変換される可能性があるグリシドール・エステルを高濃度に含むことが明らかにされ、同委員会は、エコナ・クッキングオイルの安全性についてなお検討を重ねる必要があるといたしました。

 今回の販売自粛は、このことに対する不安から同社が自主的に講じられた措置であると理解しております。

2. グリシドール・エステルの安全性議論について

 グリシドール・エステルについては、人体に取り込まれたときの安全性に関する科学的知見を得ることが何よりも重要であります。
 このため、食品安全委員会はこれらに関する知見を早急に得るよう政府に指示されたところであります。

3. 普通の植物油の安全性について

 エコナ・クッキングオイルは、自然界には見られないほどの高濃度のジアシルグリセロールを主体とする製品であり、普通の植物油とは全く異なる物質です。
 普通の植物油は、人類の長い食経験を通じて安全であることが確認されており、安心してお召し上がりいただきたく存じます。